お産に不安や怖さを覚える時

 妊娠中、特に何のトラブルもなく、成長する赤ちゃんの胎動を感じながらハッピーに過ごしてきた方でも、臨月に入ると漠然とした怖さを覚える事があります。

 今まではまだ先の事と思っていた出産の時が近づいた事で、急に「お産」がリアルになってきます。

「本当に、産めるだろうか?」

「痛いと聞くけれど、耐えられるだろうか?」

「難産になったりしないだろうか?」

 でもこういった感覚は、実は「野性」とは反したものです。
頭が作り上げた幻想に、意味なく脅えているのです。

 そんなわけない、と思います?

 ではもしもあなたの周りの人が、これまで1度も「お産はつらい」という話をしていなければ、あなたはどう思っているでしょうか?
ドラマやドキュメンタリーでみる出産のシーンがいつも心地よさそうで、喜びだけのものだったら?
あなたのお母様が、「産むのは最高に楽しいよ~。気持ちいいよ~」と言っていたら?
先に出産した友人が、お産がいかに面白かったかしか語らなかったら?

 おそらくあなたの中に「出産=大変・痛い」という発想はないはずです。
特に初産の方はそうでしょう。 だって、まだ1度も出産という経験をしていないんですから、他の人からの情報を参考にするしかないんですもの。

 既に経験された経産婦さんの場合は、初回がつらければ「自分の経験として怖い」と思うかもしれませんね。 でもその経験も、初回、みんなに「大変だよ、痛いよ」と言われたのを鵜呑みにして、無理やり痛い思いをしていただけかもしれないですよ?
(もちろん、赤ちゃんの首に臍の緒がまきついていたとか、逆子だったとか、母体の体力が大きく落ちていた・・・とか、そういう特別な場合はのぞきます)

 実は、妊娠中にとても興味深い出産のお話を聞くチャンスがありました。

 本来、お産に痛みなんてない。 そうでなければ、自然に反する。
生命は子孫を残そうとするのが自然の姿だ。 もしその子孫を残すのに毎回大きな苦痛が伴えば、繁殖のチャンスは減ってしまう。 

 なるほど、と思いました。
ただ、その苦痛に勝る達成感を出産後ホルモンが作る、とも聞いていたので、痛みはやはりあるんじゃないか・・・というのが私の考えでしたけどね。(笑)

 でも不思議な縁で、痛くないのが当たり前、という話が続々と私の元に集まり始めたんです。

 1度もいきまないで出産した方。
 本当に苦痛なく自然分娩した方。

 そういう方との出会いでお聞きした話は驚きのものばかり。

 

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予定日を超過したら

 お腹に赤ちゃんがいらっしゃる方は、その赤ちゃんがこの世に生まれてくる「予定日」というものをお医者さんや助産師さんから知らされていると思います。
この予定日がくわせものです。
妊娠初期や中期には特に気にならない事が多いようですが、臨月になると「今日か明日か」という雰囲気が、周囲に漂ってきます。
そして妊婦さんに「はやく産んで」と静かなるプレッシャーを与えるのです

 いいえ、私はそんなプレッシャーには縁がないわ。
そうおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。 何を隠そう、私自身もそうでした。
ところが、実際に臨月に入り、予定日が近づいてもお産の兆候が見られなかったり、予定日を過ぎても子宮口が開いていなかったり・・・。
親や友人からは「もう生まれた?」「まだ?」「早く知らせて」というメールや連絡がバンバン入り(生まれたら知らせるから放っておいて!)、医師からは計画出産の説明があり(まだ正産期の範囲なのにどうして?)、それを知った両親から「陣痛促進剤はこわい」という話をえんえん聞かされたり(そんな怖い話聞きたくない!)、周りがあまりにも騒がしくなって、も~~とんでもなくイライラさせられました。(笑)

 この騒がしさの原因は、「予定日を超過すると胎盤機能が低下し、母子の安全に不安が出てくる」という説や、「赤ちゃんが育ち過ぎて難産になる可能性が高い」という不安から生まれるように思います。

  実際に、そういう事はあるかと思います。
ただ、ここで思い出して欲しいのは、「予定日」というのはあくまで「目安の日」でしかないという事です。
予定っていうと、「あらかじめ定められた日」なので、どうしても「その日」にスポットがあたってしまいますが、正産期って、「予定日」の前3週間、後ろ2週間とけっこう長い範囲なんですよね。 だから本当は予定「日」じゃなくて「期間」って言った方がいいのかも・・・。
私は「予定日」という表現より「目安日」の方がもっと緩い感じでいいなと思ってます。

 だから、予定日を超過してもあまり心配しないで下さい。
医師の中には、予定日近くなっても子宮口が開いていないことで薬を使うことをすすめたり、予定日を超過したらすぐに誘発分娩を促す方もいらっしゃるでしょう。
それは、ほとんどの場合、あなたと赤ちゃんの安全を願ってのことです。 
陣痛促進剤の事故や、自分都合の医師の話を聞いたりするから不安にもなるでしょうが、ニュースになるのは問題が起こった時だけで、何事もなかった場合は報道されない事を思い出してください。 
人工的に出産を進めて元気な赤ちゃんを産んだお母さんもたくさんいます。
と同時に、正産期を過ぎてもゆっくり赤ちゃんの生まれてくる日を待ち、自然分娩で安産だったお母さんもいます。

 予定日を過ぎると、人工的なお産を選ぶか、自然に陣痛が来るのを待つか・・・。
そんな選択を迫られ、自分自身も不安になるし、周囲も騒ぐでしょう。
その時、大切なのは、お母さんの感覚だと私は思います。
赤ちゃんは、自分で生まれてくる日を決めているといいます。
その日は、自分の身体の感覚を静かに見つめていればなんとなくわかります。
例えば、お腹の張る回数とか、胃の圧迫感が落ち着いて来たとか、足の付け根が緩む感じがするとか、お産の兆候というものを徐々に、または急に感じるようになります。
私の場合は、予定日近くなっても胃の圧迫感がなくならなかったので「赤ちゃんはまだ下がってきてないからもう少しかかるだろう」という感じがしました。
だから、医師に「まだ全然子宮口が開いてないね」と言われた時も、心配になるというよりは「やっぱり~。っていうか、まぁ当然かな」と思いました。 
「おそらくこの日の夜あたりから陣痛がくるんじゃないか」というのも感覚的にわかり、本当にその通りになりました!
 お腹の中にいる赤ちゃんの体調も、10ヶ月近く一緒にいたのだから注意していればわかることがほとんどです。
予定日を過ぎて胎盤機能が急激に悪くなっていれば、明らかに赤ちゃんの元気がなくなるようです。 私の担当の先生は、「私なんかより、お母さんの感覚の方がずっと正しいと思うわ。 ある日、何の問題もなさそうなお母さんが突然、『なんか変だから』とやってきて診察したら、早期胎盤剥離だったの。 本人はいたって元気だったし、前日の健診でも赤ちゃんは元気だったからよく気がついたなってびっくりした」なんておっしゃってました。 (もちろん、このお母さんの赤ちゃんも帝王切開で元気に生まれて来たのでご安心を!)

 野性の感覚って、頭で考える事以上にすごいんですよ。
現代社会は情報がいっぱいで、時にふりまわされ、混乱もしますが、そういう時は素直に身体と心の感覚を見つめてみてください。

 この子は、自然に生まれてくる力があるのか、それとも医師の手伝いを必要としているのか。 
自分の身体を通して赤ちゃんに聞くことができるんです。
 
医療介入を受けることも、受けないことも、どちらも悪い事ではないと思います。
担当医師が信頼に値する人物かどうかも、お母さんの感覚が知っているはず。 
臨月になるまでお世話になってきたということは、信頼できる相手の場合がほとんどじゃないかしら。

 予定日が近いのに、お産の兆候が見られない。

 予定日を過ぎてまだ数日なのに誘発分娩を促された。

 そういう時、もしも不安になったら、静かに身体の声に耳をすませて下さい。
ワイルドセンスはとても正直に必要な情報を与えてくれます。

 赤ちゃんの顔を見るまであとわずか。 
生涯において、非常に短く貴重な妊娠期間もあとわずか。 
その特別な時間の最後の月をどうぞ穏やかに、そして大切に楽しんで下さいね!

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腹帯って必要なの?

 昔は妊婦と言えば「戌の日に腹帯」だったみたいですが、この頃は腹帯は必要説と必要じゃない説と両方あるみたいですね。
私は妊娠がわかったとたん、母から「腹帯はさらしタイプにする?それともガードルとかベルトタイプにする?」って聞かれました。 買ってくれるって言うんですよ。
それで着脱が楽そうな「ベルトタイプ」を1枚試しに買ってもらったんですが・・・。

 後から「腹帯をするのは日本だけの習慣。つまり、妊婦に必ず必要なものではない」という記事に出会いました。 
その中で特にインパクトが強かったのが、「腹帯をしていると赤ちゃんが大きくならないので産む時に楽だ」という説があるというところ。 もちろん「腹帯は不要」という立場から書かれたその記事は、「自分の都合で赤ちゃんの成長を妨げるなんてとんでもないことです」と、読者に呼びかけていました。

 私はそれを読んで、「腹帯は暑いから(夏場だった)つけたくないけど、赤ちゃんが大きくならずに産む時に楽ならつけておこうかな」と、記事のライターの思惑とは反対の母親失格(?!)なコトを思ってました。
逆に同時期に妊娠していた友人は、「腹帯をした方がお腹が支えられて腰も楽だけど、赤ちゃんの成長が妨げられてしまうなら、つけないでいるわ!」って言ってましたね。
私達はそれぞれ、
 つけたくないけど、つけた人。
 つけたいけど、つけなかった人。
 ・・・になったわけです。

 そして出産後、ふとした会話から「腹帯って必要だったかどうか」という事を振り返る機会があったんです。
私の答えは「やっぱり、必要なかった」、彼女の答えは「やっぱり、必要だった」と反対でした。 でもふたりとも共通して情報に振り回されず、自分の思った通りにしておけばよかったという結論なんです。


 私の場合、どうして必要なかったかというと、
①夏場、暑いのに無理してつけていてひどいあせもができてしまった。 
②秋口からは妊娠性掻痒と乾燥性の敏感肌になり、つけていることで激しい痒みが出た。
・・・つまり、肌のトラブルです。 ガードル、ベルトタイプ、腹巻タイプなど色々買って試したけれど、あまりのかゆさと肌アレのひどさで結局どれもほとんど使用しないまま。 おそらく腹帯着用期間はトータルで1ヵ月あったかないか。 もったいなかったな~~。
そうそう。 腹帯をほとんどしなかったことで赤ちゃんが大きく育ちすぎたという事もありませんでしたよ。 2914gと小さすぎも大きすぎもしないベビーでした!

 ちなみに友人はというと、どんなに腰痛が悪化して「腹帯をつけたい!」と思っても、ベビーの成長の為にと最後まで「つけないで頑張った」そうです。 
でも、
①最終的に腰痛が家事に支障が出るほど悪化した。
②早い時期からお腹が下にひっぱられるような出方になり、妊娠線ができてしまった。
という理由から、次の妊娠時は「無理に腹帯をしないでおこうとか決めないで、つらくなってきたらつけるわ!」という結論にたどり着いたみたい。


 「腹帯をすべきかどうか」は、頭で考えて判断するものではないかもしれません。
必要かどうか迷ったら、自分の身体の声に耳を傾けてみるのが一番です。

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つわりも野性

 妊娠してから、匂いに敏感になりました。
特に強く反応したのが「煙草」。 

 それまではよほどひどい場合でなければ全く気にならなかった「歩き煙草さん」や「駅ホーム煙草さん」が目に付く、目に付く! いや、言葉通り鼻につく! 思わず顔を覆ってしまいたいくらい、煙草の煙と匂いがつらくなったんです。 
その敏感さといったら!!!!
まるで煙草の煙やにおいのセンサーが自分に搭載されてしまったかのよう! 数メートル先の煙草にも反応してしまうようになりました。 
同時に、ある友人のにおいにも反応・・・。 彼女、ヘビースモーカーなんです。 きっと髪とか服とかににおいがしみついていたんでしょうね。 それまでは全く気づかなかったのに、妊娠したとたん、彼女が近づくのが耐えられなくなってしまったんです。(ごめんね) 
一体どうしたことか! 私の嗅覚は妊娠直後から「煙草」に対してとんでもない鋭敏さを誇るようになっていたのでした。
「うわぁ、この匂いダメ!」 そんな感じで気分が悪くなるので、煙草に縁ある場所や人を避けざるを得ない状況に・・・。
これはきっと、お腹の子供を守る為に現れたものじゃないかな、と後から強く思うようになりました。 
私の職場や環境は特に「煙草人口」が多かったので、「どうにかしてね」というベビーからのサインに、私の身体が応え、有害なものを避けさせる為に、その匂いに強く反応し、嫌悪感を覚えさせたように感じています。

 つわりの時期、色々な匂いに敏感になるってよく言いますね。
妊娠初期は特に不安定な時期でもあるし、ベビーを守る為に母体のワイルド・センスは「匂い」に敏感になる事で、避けるべきものを知らせているのかもしれませんね。
私の場合は「煙草」の他に「排気ガス」「インスタントラーメン」がダメでしたが、「お米の炊けるにおい」とか、中には「夫の体臭」なんていう方もいらっしゃるんですってね!
それも、「ワイルド・センス」の働きかけかも・・・?
「夫がダメになった」という人達の話を聞いていると、ご主人が妊娠に前向きでなかったり、何らかのストレスを奥さんに与えている場合が多かったんです。
お米など他の食品や事柄も同じかもしれません。 人それぞれ、体質や環境が違うので、ダメになるものも違うというわけ・・・。

「自分の身体」が一番、自分の身体にとって良いものと悪いものをわかっていて、ワイルド・センスがそれを知らせてくれる
そういう気がします。

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妊娠に気がつく野性

 私が「えっ、これは?!」と妊娠に気がついたのは、後から産婦人科で告げられたその時の週数から逆算するに、なんと3週目です。
 妊娠3週目と言うと、ちょうど受精卵が子宮内に着床した頃。 妊娠が成立しない場合、生理が来るのは4週目とされているので、生理周期が順調な方は、その4週目に生理がこない事で「もしや?」と疑うことになるわけです。
つまり普通なら、3週目というのは妊娠している自覚がない時期なんです。
それなのに、どうして私は生理が遅れる前に『妊娠』に気づいたのか・・・。
いや、それ以前に私の場合、ひどい生理不順でおまけに卵巣機能不全と言われていて生理自体が年に3,4回という有様。 「いつ生理が来るか」なんて予測もたてられない状態だったんですよね。

 まさに、野性が目覚めていたんだと思うんです。

 その朝、なぜか私は妊娠検査薬を使ってみたい気持ちにかられたんです。
「妊娠したかも?」という思いはなかったにもかかわらず。
何だか勢いというか、ほんとに気分というか、検査して陰性なのを確認したら、生理が来そうだなって、そういう感じでした。

 ところが・・・。 驚いた事にうすい、うす~~~~い陽性反応線が現れたじゃありませんか! 

 その日から、産婦人科で正式に妊娠とわかるまでの2週間(あまりに線が薄かったので、濃く出るまで受診を控えていた)は、「妊娠したかも?!」と思っているのと、全く気づいていないのとでは、大違いでした。 何が違うって、私の行動です。
私の職場って、結構ハードで食事も思う時間にゆっくりとれなかったし、煙草の煙があちこちでもうもうとあがってる・・・って感じだったんですよ。 
おまけに徹夜仕事もザラ。お酒を飲む機会もたっぷり。 妊娠を疑っていなければそのまま無茶をしていたと思います。

でも、もし子供がお腹に宿っているなら、このままじゃダメだわ! そう思った私はベビーにとって害になりそうなあらゆる事柄を避ける為の努力を密かにスタートしたんです。

 

 はやくに妊娠に気がついたのは、子供を守ろうとする野性の本能 がどこかで目覚めていたため・・・と思います。

 コンビニで煙草を買うのをやめようってふと思ったあの時、夫の精子と私の卵子は出会い、ひとつになっていたのかもしれない。 子宮めざして進んでいたのかもしれない。
検査薬を試そうと思い立ったあの朝は、着床した受精卵が「守るべき存在が芽生えた事」を知らせようとしたのかもしれない。

 後になって、強くそういう事を感じたのでした。

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